ED(勃起不全)・早漏・AGA(男性型脱毛症)・肥満(ダイエット)のオンライン診療(遠隔診療)を行っているクリニックです。
Telemedicine Report
記事リリース日:2018年3月1日 / 最終更新日:2019年1月21日
日本の医療では、原則すべての国民がなんらかの公的医療保険に加入しています。これを皆保険といい、医療保険に入っていると病院で支払う治療費の自己負担額は1~3割で済みます。もうひとつ自由診療という制度もあって、こちらは治療費の全額を患者が負担しなければなりません。保険診療のほうが患者の負担が圧倒的に小さいわけですが、オンライン診療(遠隔診療)では自由診療を行っているクリニックが多いようです。なぜなのでしょうか。
目次
オンライン診療(遠隔診療)に自由診療が多い理由を知るためには、保険診療の基礎を知っておく必要があります。保険診療の「保険」とは、公的医療保険のことを指します。かつては公的医療保険に加入している患者は、病院で治療を受けても一切治療費を支払う必要はありませんでした。保険料を毎月支払っていれば、治療費は0円だったのです。ところが国民の医療費が膨れ上がって国の財政を圧迫するようになり、国民に自己負担を求めるようになったのです。働く世代の方の自己負担が2割から3割に増えたのは2003年4月からで、それ以降増えていません。ですので3割が最も高い自己負担額となります。3割より安い方もいて、その方の状況に応じて自己負担額は変わります。以下の図は、厚生労働省が公開しているものです。
3割より安い自己負担額で受診できるのは、その方の経済状況を考慮したり、政府の政策を反映させたりしているからです。例えば、5歳以下の義務教育就学前の子供が2割になっているのは、国の子育て支援政策の一環といえるでしょう。また企業や公務員を定年退職してしばらく経つと、家庭の経済状況が悪化することから、70歳以上は2割負担、75歳以上になると1割にまで減ります。ただ、70歳以上でも現役世代並みに稼いでいる場合は、3割負担となっています。
続いて自由診療について説明します。医療機関によっては、厚生労働省が保険診療として認めない医療行為を提供しているところがあります。厚生労働省は「それは確かに医療行為だが、病気を治しているわけではないので保険診療として認められない」と考えているのです。保険診療は厚生労働省が1つ1つの治療について「保険診療として認める」と認定するのですが、自由診療は厚生労働省の認定がなく医師や医療機関の判断で治療メニューを決めます。治療費も医師や医療機関が自由に設定できます。そんな自由診療には主に3つのタイプがあります。
1つめですが、例えば美容整形は、顔や体にメスを入れたり注射で薬物などを注入したりするので、れっきとした医療行為なのですが、当然のことながら病気を治しているわけではないので、保険診療の対象外となります。男性であればED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)などもこのタイプに含まれます。
2つめの自由診療のタイプは、正常な出産・分娩です。子供を産むことは病気ではないので保険診療の対象とはならず、自由診療となります。ただ、病気を伴う分娩になると保険診療に切り替わります。つまり1つの産科病院の中に、自由診療で出産する方と保険診療で出産する場合が存在するということです。そして最後に紹介する3つ目の自由診療のタイプが、オンライン診療(遠隔診療)と深く関わってきます。医師が明らかに病気を治療しているのに、厚生労働省が保険診療と認めないことがあります。例えばある抗がん剤が、海外では承認されているのに、国内ではまだ承認されていないとします。日本の医師はこのとき、個人輸入の形で海外から抗がん剤を輸入し、日本で日本人の患者に投与することができます。しかしこの治療は自由診療で行わなければならないのです。つまり、海外でどんなに治療効果が出ている医療でも、残念ながら日本で承認されていなければ「ちょっと進みすぎている」と判断されてしまい自由診療で行うことになってしまうのです。オンライン診療(遠隔診療)は、日本ではまだ「ちょっと進みすぎている医療」という位置づけなのです。
医療機関は保険診療を行うことで、患者と医療保険制度から報酬をもらっています。保険診療では、その報酬のことを診療報酬と呼んでいます。では、オンライン診療(遠隔診療)による診療報酬はいくらになるのか。オンライン診療(遠隔診療)を行っている医療機関はいくら貰っているのかというと、通常の直接の対面式の診療よりも1~2割少ない金額と言われています。つまり、いま現在においてオンライン診療(遠隔診療)を行っている医療機関というのは、多少利益を度外視して取り組んでいる側面が強く、投資の為に今を犠牲にしているところがほとんどです。以下の表は、直接の対面診療を行った場合に発生する診療報酬のうち、「オンライン診療(遠隔診療)でも貰えるもの(○)」と「オンライン診療(遠隔診療)では貰えないもの(×)」の一覧です。
オンライン診療(遠隔診療)を行っている医療機関の最大の痛手は、現在の法律では初診料を請求できないことです。再診料が720円なのに対し、初診料はその4倍近い2,820円にもなります。多くのオンライン診療(遠隔診療)クリニックは、初診だけは患者にクリニックに来てもらっていますが、これは厚生労働省の考えや治療上の必要性もありますが、経済的な事情もあるのです。再診料はオンライン診療(遠隔診療)でも貰えます。なぜ貰えるのかというと、患者から電話等での治療上の意見を求められ、医師がそれに対して指示をした場合、再診料を算定できるというルールがあるからです。スマホやタブレットは「電話等」の「等」に当たると解釈されているのです。外来管理加算520円や特定疾患療養管理料は、より複雑な医療を行ったときの診療報酬です。ところが現行の運用ではオンライン診療(遠隔診療)では認められていません。診療報酬は医療機関の経営を左右する重要な要素であるばかりでなく、医師たちのモチベーションにも大きく関わることなので、こうした診療報酬が認められていないことを残念に感じる医師は少なくないでしょう。
※記載の金額は2017年8月時点のものになります。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/20160609_shiryou_shouchou_1_1.pdf
このようにオンライン診療(遠隔診療)を保険診療で行うと診療報酬が減ってしまうため、自由診療を取り入れているクリニックが少なくありません。自由診療は医療機関側で治療費を設定できるからです。自由診療のオンライン診療(遠隔診療)を行っている医療機関でよく見るのが予約料1,080円を請求している医療機関です。上記で説明しましたが初診料の代わりやシステム運用費として予約料が必要となります。中にはもっと高額な予約料を取っている医療機関もあります。当クリニックでは患者様の負担を極力減らす為、システム運用費として500円の予約料を設定しておりますが、他の医療機関に比べて半額以下になっておりますのでご安心ください。
安倍晋三首相は2017年4月に「対面診療とオンライン診療(遠隔診療)を組み合わせた新しい医療を次の診療報酬改定でしっかり評価する」と明言しました。次の診療報酬改定は2018年に行われます。オンライン診療(遠隔診療)を行っている医療機関の期待は高まっていることでしょう。診療報酬がきちんと支払われるようになればオンライン診療(遠隔診療)はますます拡充するわけですので、患者にとってもメリットは大きいといえるでしょう。
※安倍首相がオンライン診療(遠隔診療)アプリを体験した際の詳細を、こちらの記事にまとめています。
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