現状の問題点
例えばある高齢患者がクリニックを受診したところ、大きな病気の疑いが見つかったため総合病院に入院し、退院後に介護施設に入ったとします。
現行では、この3つの医療機関・介護施設はこの患者に関する情報を独自に調べて保管しておかなければなりません。
患者側も、3つの医療機関・介護施設から同じことを聞かれるのでわずらわしいでしょう。
患者にカルテを渡してしまえば患者も医療も介護も楽
神野理事長は、病院が患者に患者のカルテを渡してしまえば3つの医療機関・介護施設は同じ情報を共有できるので、いちいち患者情報を調べる必要がなくなる、と考えたのです。
患者が自分のカルテを持ち運べるようになると、どこの医療機関もどこの介護施設も「MY病院(介護施設)」になるというわけです。
MY病院構想の肝は患者がカルテを持つことです。これを実現したのが、スマホを活用したサービス「カルテコ」です。
スマホで使うカルテコとは
カルテコは、メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)という会社が開発しました。カルテコの導入は、恵寿総合病院が全国で3番目でした。
患者はカルテコを使えば、いつでも恵寿総合病院が保管している自分のカルテを閲覧することができます。恵寿総合病院ではスマホを持っていない人のために院内に専用のコンピューター端末を設置して、患者がそこからカルテ情報を印刷できるようにしました。
スマホで閲覧できるカルテ情報は、
- ・医療機関情報
- ・受診日
- ・病名
- ・受診理由
- ・主訴
- ・検体検査データ
- ・薬、注射、処方箋
となっています。
カルテコがあれば、患者はスマホを持ってほかの病院・クリニックに行き、医師に自分のカルテを見せることができます。調剤薬局の薬剤師に相談することもできます。
患者の覚悟を促し健康増進と医療費削減を実現
神野理事長は、患者が自分のカルテを持ち運ぶカルテコ方式が拡大すれば、患者自身に「自分のことは自分で管理する」という覚悟が生まれるだろうと考えています。
患者に覚悟が芽生えれば、早期治療や病気予防に取り組むようになり、健康の増進と医療費の削減が実現できます。