保険医療適用の2年前からオンライン診療をしていた医師
オンライン診療が医療保険の対象になったのが2018年4月ですので、来田院長はその2年も前からオンライン精神科治療の実績を積んできたわけです。
来田院長がオンライン診療にいち早く取り組んだのは、病院勤務時代に治療の継続率を高めなければならないと感じていたからです。そして、インターネットなどのオンラインを活用すれば、患者とのコミュニケーションが取りやすいと考えました。
さらに、アメリカの精神科でオンライン診療が普及していることも、その将来性や可能性を信じる根拠になりました。
オンライン問診をすることで初診の対面診療内容が充実する
来田院長のクリニックでは、株式会社メドレーのクリニクスというオンライン診療システムを利用しています。クリニクスには問診機能がついていて、患者のスマホ画面に質問が出てきます。患者はスマホ画面で答えることができます。
オンライン診療であっても医療保険診療をするときは、初診は対面診療でなければなりません。
しかしオンライン問診で医師が患者情報を得ておけば、初診の対面診療でより深い質問から始めることができます。
患者は初めて会った医師でも「自分のことを知ってくれている」という安心感を得ることができます。
自宅での生活の乱れも把握できる
さらに来田院長は、オンライン診療を導入すると患者の自宅の様子がわかり、それが治療に役立つと考えています。
オンライン診療を受けている患者が自宅にいることが多く、患者の顔や姿はスマホのカメラを通じて診察室にいる医師のパソコン画面に現れます。
そのため、患者が日中なのにパジャマを着ていたり、髪が乱れたままだったり、昼間でもカーテンを閉め切っていたりすることがわかります。精神科医はそういった私生活の状況を把握しながら治療の進捗状況を判断するのです。
外来の対面診療では、外出が必要という事で、多くの患者は身だしなみを整えるので、患者のリアルな日常生活までわかりません。
しかし、オンライン診療であれば、患者のありのままの状況を把握しやすいというメリットが挙げられます。
対面診療と組み合わせることで治療にメリハリが生まれる
オンライン診療のメリットはまだあります。それは対面診療と組み合わせることで、治療にメリハリが生まれることです。
例えば、「次回の診療は経過観察なのでオンライン診療でいいでしょう」とすることもできますし、「血液検査と心理テストを行うので次は対面診療にしましょう」とすることもできます。
患者側にとっても、病院へ通院しなければならない理由を理解しやすいのです。
オンライン診療の普及を目指す
来田院長はオンライン診療の普及を進めようと、オンライン診療研究会を立ち上げ、自身は事務局長に就任しました。
オンライン診療の利便性を深く実感しているようです。