出資とは
メドレードライブをみるまえに、まずは、そもそも出資とはどのような経済活動なのか解説します。
経営者が事業を始めるには、ヒト、モノ、カネの3つが必要です。
ヒトは社員や従業員のことです。
モノは土地や工場や材料などのことです。
カネは社員を雇ったり土地や工場や材料などを調達したりする資金のことです。
経営者はヒト、モノ、カネのすべてに関わりますが、カネだけに関わる人もいます。
それが出資者です。
出資者とは、企業の事業のためにお金を出す人のことです。
企業にお金を出す機関に銀行がありますが、出資者による出資は、銀行による融資とは性質が異なります。
出資者が出したお金は、企業の事業が失敗したら消えてなくなりますが、銀行が貸したお金は企業が倒産した後も債権として残ります。
出資者のほうが、銀行よりリスクが大きいといえますが、その代わりリターンも多いのです。
出資した企業が儲ければ、出資者は莫大なお金を手に入れることができます。
一方の銀行は、貸したお金の利子しか得ることができません。
メドレーが取り組むのは出資です。
したがって、メドレーが出資した企業が大成長すれば、メドレーは大きな利益を得ることができます。
しかしメドレーの最終目標がお金を増やすことでないことは明白です。
なぜならメドレーは出資先を、ネット医療関連の企業に絞っているからです。
つまりメドレーは“大成長する企業”に出資するのではなく、“ネット医療ビジネスに貢献できる企業”に出資するからです。
これはすなわち、メドレーには、ネット医療業界を発展させる意図があると考えることができます。
メドレーとは
メドレー自身がネット医療ビジネスの会社です。
メドレーの主力商品はオンライン診療システム「クリニクス」です。
オンライン診療システムは、医師のパソコンと患者のスマホをつなぐ仕組みのことで、これを使ってテレビ電話方式で医師と患者が話したり、診察予約を入れたり、治療費の支払いをすることができます。
メドレーは2017年5月に、首相官邸にて安倍晋三首相にオンライン診療のデモンストレーションを行ったことでも知られています。
メドレーの医療ビジネスにはそのほかにも、医療や病気に関するニュースやトピックスを配信するWebサイト「メドレーニュース」や、医療人材や介護人材の就職支援などがあります。
メドレーの創業者で代表取締役社長は瀧口浩平氏といい、アメリカで市場調査や統計調査などを行う会社を立ち上げた後、2009年にメドレーを創業しました。
そしてメドレーの共同代表で、「代表取締役医師」という聞き慣れない役職に就いているのが、豊田剛一郎氏です。
豊田氏は東京大学医学部を卒業した後、脳神経外科医として活躍していました。
その後コンサルティイング会社に転職してビジネスの世界に入り、2015年にメドレーに入社しました。
ネット医療ビジネス出資「メドレードライブ」とは
メドレードライブの内容を紹介します。
総額30億円の出資先は、インターネットサービスの普及が進まない医療現場の現状を打破する企業です。
具体的には次の3項目のうちいずれかに該当する企業になります。
- ・医療ヘルスケア事業の実績があり、ITによる課題解決を模索している企業
- ・医療ヘルスケア事業のスタンダード(標準)となりうるインターネット製品・サービスを開発している企業
- ・医療ヘルスケア分野の次世代標準になりうる要素技術の開発を行っている企業
メドレーはお金を出すだけでなく、出資先企業と協力して次世代の標準になりうる医療技術を開発していきます。
また開発した技術はオープンにして、そのほかのネット医療サービス企業が使えるようにします。
メドレーには、「日本の医療業界のシステムには統一した規格がないうえに、病院は独自に情報ネットワークを構築しているため、医療業界全体で使えるインターネット技術を普及させることが難しい」という問題意識があります。
メドレーが出資先企業と生み出した技術やサービスをオープンにすれば、多くの企業が無料もしくは低コストで使うことができるので「業界標準」になるかもしれません。
結局のところ多くの企業やユーザーが使っているものが業界標準になるからです。
またメドレーは、出資先企業のマーケティング戦略支援やガバナンス体制づくりにも協力します。
マーケティングとは売上増や利益増を図るためのあらゆる手段のことであり、ガマナンスとは企業統治のことです。
新しくて輝いているアイデアや技術を持っているベンチャー企業のなかには、マーケティングやガバナンスが未熟なところが少なくありません。
マーケティングとガバナンスがしっかりしていないと、いくらアイデアや技術が優れていても、市場で生き残ることはできません。