Telemedicine Report
記事リリース日:2018年4月9日 / 最終更新日:2019年1月21日
「症」がつくと、それは病気です。「肥満」だけなら単に太り気味の人ですが、「肥満症」となると病気を意味します。
病気ですので、医療機関でも治療を行います。
肥満症治療の目的は減量ですが、エステやスポーツジムのダイエットコースとは異なるアプローチをします。
その肥満症治療にオンライン診療(遠隔診療)を用いるクリニックが増えています。
オンライン診療(遠隔診療)はスマホを使って治療をするのですが、本当にスマホで痩せることができるのでしょうか。どのような治療を行っているのか見てみましょう。
目次
オンライン診療(遠隔診療)を使ってまで肥満症を治療しなければならないのは、肥満症をきっかけとして、最悪の場合、命を落とす可能性を含む病を併発してしまうかもしれないからです。
肥満症が引き起こす病気のほんの一例を紹介します。
肥満症はこれらの病気の発症リスクを高めるのです。死亡しなくても、生活の質が著しく落ちる病気も含まれています。
肥満症治療はいくつか治療メニューがあるのですが、すべての肥満症治療をオンライン診療(遠隔診療)に置き換えることはできません。
ただ、肥満症治療の一部でもオンライン診療(遠隔診療)に置き換えることで、治療効果が期待できるかもしれません。
そこでオンライン診療(遠隔診療)による肥満症治療を見る前に、対面診療による肥満症治療を紹介します。
肥満症の治療には、
の3種類があります。肥満の度合いが大きくなるにつれ、治療法が上から下に移っていきます。
肥満の度合いはBMI(Body Mass Index、ボディマス指数または肥満度指標)の数値で表します。
・BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
で計算し、適正値はBMI=22です。
BMI=22とは身長160cm(1.6m)の人なら56.32㎏となり、これが適正体重となります。
(22×1.6×1.6=56.32)
BMI25~30の人は、食事療法と運動療法で治療します。身長1.6mの人であれば、64~76.8㎏となります。
医療機関では医師の診察の後、運動メニューが示されたり、管理栄養士による食生活改善指導や栄養指導を受けます。
「まずは体重3%減」を目指す肥満症治療クリニックが多いようです。
BMI30~35になると、薬を使った治療になります。この薬物療法については、遠隔療法の章で詳しく解説します。
BMI35は、身長1.6mの人なら89.6㎏です。
BMI35以上の人は、スリーブ状胃切除という手術が検討されます。
この手術は、胃を80%以上切除して、強制的に胃の容量を小さくし、カロリー摂取量を減らします。
全身麻酔をかけた後、お腹に5~6カ所の穴を開けて手術器具やカメラを挿入する腹腔鏡手術という手法で行います。
スリーブ状胃切除手術によって
という3つの減量が行われます。
ちなみに、BMI35の人の身長と体重の関係は次の通りです。
BMI35以上の人がすぐにこの手術を受けるわけではなく、
この2つの条件に合致した場合に手術を行います。
スリーブ状胃切除手術は、まさに最終手段というわけです。
胃の切除はとても大きな手術なので、そこに至らないようにするために、オンライン診療(遠隔診療)を導入してでも肥満を食い止めましょう。
肥満症の3つの治療のうち、次の2つの治療は
という欠点があります。
そこで薬を飲むだけでよい薬物療法が肥満症治療で重要になってきます。そして薬物療法こそ、オンライン診療(遠隔診療)が得意とする治療法なのです。
当クリニックではオンライン診療(遠隔診療)による肥満症治療を行っておりますので、オンライン診療(遠隔診療)の流れを解説します。
まずは患者様ご自身のスマホで専用のアプリをダウンロードします。アプリの画面で個人情報などを登録して、オンライン診療(遠隔診療)を受ける日時を予約します。
次は支払いですが、支払いにはクレジットカードが必要になります。ダウンロード後の登録時に必要なカード情報を入力するだけで準備完了です。登録が済んでしまえば実際の支払いは自動的に支払処理がされます。医療保険は使えません。
予約した日時にスマホのアプリを立ち上げておきます。時間になると通知が入りスマホの画面に医師の顔が現れます。後はテレビ電話の要領で医師の診察を受けます。
診察が終わると次は支払いですが、登録しているクレジットカードから自動的に料金が引き落とされます。
地域差はありますが、概ね診察後4~5日以内に、宅配便で薬が送られてきます。
当クリニックでは、初診もオンライン診療(遠隔診療)で行うことができるので、実質、通院不要で肥満症治療の薬を処方することができます。
肥満治療(ダイエット)をお考えの方は、医薬品による治療を行っている当クリニックのオンライン診療(遠隔診療)にて治療を始めてみて下さい。
■予約はこちらから
【スマホ・タブレットの場合】
https://www.lifesharers.org/clinics/mobile/
【パソコンの場合】
https://www.lifesharers.org/clinics/pc/
ただ、別のクリニックでは、初診のみ来院が必要というところもあります。
オンライン診療(遠隔診療)を行っているクリニックはホームページが充実していることが多いので、事前にホームページをチェックしたり、電話をするなどして確認しておいたほうがいいでしょう。
肥満症治療で使う薬の1つがGLP-1で、新しい治療法なのでかなり高額です。少し費用を抑えたい場合に適した医薬品として、ゼニカルという薬があります。
42錠(約2週間分)で平均処方価格が約13,000円(当クリニックでは11,000円で処方しています※2018年4月現在)です。
日本の厚生労働省はゼニカルを認可していないのですが、アメリカの食品医薬品局(FDA)という、日本でいう所の厚労省にあたる所では承認されています。
ゼニカルはスイスの製薬メーカー、ロシュ社が製造していて、世界17カ国で使われています。
日本未承認薬でも、医師が輸入して患者に処方することは法律上問題ありません。
ゼニカルは、食べた食材に含まれる脂肪分が腸で吸収されるのを防ぐ薬です。
脂肪分は、リパーゼという酵素によって分解され腸に吸収されます。脂肪分はそのままでは体内に吸収されないのです。
リパーゼの働きを阻害するので、脂肪分が吸収されずに済むというわけです。
ゼニカルは、食べた食材の脂肪分の30%ほどをカットする効果が期待できます。
服用は、食事の直前に1錠飲むだけです。1食1錠使うので、42錠で2週間分となります。
当クリニックの遠隔診療(オンライン診療)ではゼニカルを処方しています。ゼニカルの詳細については、こちらにも掲載しております。
もうひとつの肥満症治療で使う薬がGLP-1自己注射です。名前の通り、これは飲み薬ではなく自己注射方式になっています。
患者自身が特殊な注射器を使ってお腹などに注射します。「注射」といってもごく細の短い針を使っており、全体の形状はペン型になっていて、シャープペンの芯を出すときのように握って、ペン型注射器の上部を親指で押して薬剤を針先から出します。糖尿病患者のインスリン自己注射とまったく同じ要領です。
GLP-1は元々体内にあるホルモンで、食欲を抑える働きをしています。肥満の方は体内のGLP-1が不足しているため、いつも食欲が旺盛で食べ過ぎてしまうのです。
そこでGLP-1を自己注射で体内に投与するのです。空腹の我慢を感じず食事制限ができるようになります。
GLP-1自己注射療法を遠隔診療(オンライン診療)で行っているクリニックでは1カ月分を処方しています。つまり1カ月に1回、遠隔診療(オンライン診療)を受ける必要があります。
治療費は3カ月コースで30万円ほどとかなり高価です。医療保険は使えません。
なお、GLP-1自己注射は、現時点で当クリニックでは取り扱っておりません。
長崎大学病院第一内科准教授、阿比留教生医師によると、アメリカ・ボルチモアの病院が遠隔支援による肥満症治療を行い、高い効果を発揮したそうです。
ここでいう遠隔支援とは、インターネットサイト、電子メール、電話のことです。これらの情報機器を使って、医療者側が患者に食事指導や運動指導をし続けたのです。
平均BMI36.6(身長170cmなら106㎏)の肥満症患者を、①遠隔支援のみを受ける患者、②対面支援+遠隔支援を受ける患者、③対面支援のみを受ける患者――の3群に分けて2年間継続したところ、
という結果になったのです。
つまり、患者が通院しなければならない対面支援のみだけが減量効果が低く、遠隔支援を加えると高いダイエット効果が高まることが分かったのです。
阿比留准教授によると、4.6㎏減と5.1㎏はいわゆる誤差の範囲なので、遠隔支援の効果がとても高いといえるそうです。
通信機器の性能だけで見ると、日本のクリニックが使っているスマホを使ったテレビ電話方式の遠隔診療(オンライン診療)は、ボルチモアの病院が使用した遠隔支援より格段に高度です。
ただボルチモアの病院では、ダイエットの専門家に遠隔支援に当たらせました。専門家による「励まし」が奏功したのかもしれません。
阿比留医師は「遠隔支援を行えば、わざわざ医師と患者が顔を合わせることがなくても、長期の減量維持が達成されることが明らかになった」と述べています。
肥満を解消する手段の中で最も良いのは運動と食事制限です。多くの医師がそのように言っています。しかし運動も食事制限も難しい場合は肥満を放置することなく、大きな病気を引き起こす前に医療の力を借りて痩せましょう。
クリニックに通うことも面倒と感じる方は、ぜひ遠隔診療(オンライン診療)を活用してください。
遠隔診療(オンライン診療)は面倒が少ない治療法です。
「肥満症は病気」なのです。
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