記事リリース日:2017年10月10日 / 最終更新日:2019年1月18日
オンライン診療(遠隔診療)推進には
東日本大震災が関係していた
必要は発明の母、と言いますが、医療が最も深刻に必要とされるのは、災害に見舞われた場所です。災害をきっかけに新しい医療が生まれることがあるのです。
現代医療にとって電気は不可欠なインフラですが、被災地では送電が途絶え装置のほとんどは使えません。
電子カルテのパソコンが洪水に流されれば、患者情報はゼロになり、いちから検査が必要になります。患者たちがお薬手帳を失くしてしまうことも想定されます。
そして何より、治療にあたる医師たちも被災しているため、地域によっては医療が完全に停止してしまうことになります。
ところが、災害や被災に強い医療があります。それはオンライン診療(遠隔診療)です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災とオンライン診療は、とても深い関係にありました。
政府も後押しを表明
オンライン診療(遠隔診療)は、被災地で医療を妨げる3つの要因、①送電が止まる、②患者情報が無くなる、③現地の医師も被災している――を解決できます。
- ①電池があれば動くモバイル端末を使っているため、自家発電などで最低限の電源さえ確保できれば活用できる
- ②患者情報を遠隔地に保存しておけば、現地のスマホやタブレットで引き出すことができる
- ③被災地から離れた場所にいるボランティア医師たちが容易に医療に参加できる
こうした利点があることから、政府も被災地でのオンライン診療(遠隔診療)の導入に積極姿勢を示しています。
2017年5月に、福島県南相馬市の市立小高病院と、オンライン診療(遠隔診療)アプリのシステムを制作・運営している株式会社メドレー(東京都港区、豊田剛一郎・代表取締役医師)が、オンライン診療を開始しました。
この実施に先立ち、安倍晋三首相が首相官邸で、このオンライン診療を体験しました。安倍首相は「避難指示が解除されても病院が近くにないと不安がある」などと、オンライン診療(遠隔診療)を高く評価しました。
また政府は、成長戦略の中に、オンライン診療に関する診療報酬について盛り込む考えも表明しています。
震災では医療はこうなってしまう
震災が起きると、医療はどのような状態になってしまうのでしょうか。
東日本大震災で壊滅的なダメージを受けた宮城県南三陸町の、震災当時の様子を紹介します。
同町では、公立病院と6件の民間診療所がすべて機能できなくなり、医療の拠点が完全になくなってしまいました。
イスラエルの医療支援チームの協力などにより、仮設診療所ができたのは震災から1カ月以上経過した4月18日でした。
被災地での医療の難しさは、災害発生当初はもちろんですが、避難所暮らしを開始してからも深刻の度合いを深めます。
その為、心臓や血管に病気を持つ人が、強いストレスによる高血圧のコントロール不良にみまわれました。
そこで仮設の診療所でも血圧管理に力を入れたのですが、医師や看護師などが不足したことで、血圧管理の対象者を180mmHg以上と設定したそうです。
血圧が140mmHg以上になると高血圧症と診断されることから、140~180mmHgの人も血圧管理が必要なのですが、より危険性が高い180mmHg以上に制限せざるをえなかったのです。
また、津波によってカルテやお薬手帳が流されてしまったので、患者の病気の薬の調整を始めから行わなければなりませんでした。薬は多すぎても少なすぎても体に害を及ぼし、特に生活習慣病の慢性疾患の薬量のコントロールは難しく、被災前の状況に戻すのに1人1カ月ほどかかりました。
被災地でオンライン診療(遠隔診療)はこのように活躍した
このような惨状に陥った南三陸町の医療を救ったのは、オンライン診療(遠隔診療)でした。
まずは被災者に家庭用血圧計を渡したり、避難所に据え置き型血圧計を設置したりして、患者データの収集に努めました。そしてこれらのデータを、遠隔地の医療機関に送信しました。
このオンライン診療システムを導入したのは、自治医科大学循環器内科です。南三陸町の現地には医療統轄本部が立ち上がり、同町内の医師が統括しました。
据え置き型血圧計からは、携帯電話の通信機能を使って自動送信しました。個人用血圧計でも、Bluetoothで送信します。
携帯電話にしてもBluetoothにしても、もうすでに、私たちの普段の生活になじみがある機器ですので、操作はそれほど難しくありません。
短期間に大量の血圧データを送るためには、現地スタッフが患者の個人認証に莫大な時間を必要としそうですが、そうはなっていません。
患者にあらかじめ個人情報カードを配布していたので、現地スタッフが名簿を調べたり、これまでの血圧数値を尋ねたり、個人情報を書き写したりといった作業を省略できたのです。
オンライン診療(遠隔診療)が普及することによって、仮設診療所での血圧管理対象患者も、従来の180mmHg以上から、160mmHg以上へ、さらに140mmHg以上へと対象者を増やすことができたのです。
震災に強くなるオンライン診療(遠隔診療)にするには
震災に強い医療や、被災地ですぐに出動できるオンライン診療(遠隔診療)を行うには医師の養成が欠かせない、と専門家は指摘しています。
まず、オンライン診療には通信機器など多くの最新の機械が必要になります。医師自身がこれを使いこなすことができなければ、人手が余計にかかってしまいます。
このような医療分野にはすでに次世代型個別化医療という名称が付けられています。
また、被災地から離れた遠隔地で受け手となる医療を担当する医師の数も増やさなければなりません。ボランティアでの参加を期待する一方で、行政としてもきちんと支援していかなければならないでしょう。
そして、薬局や薬剤師の協力も欠かせません。電子処方箋を普及させたり、現地の医師に薬に関する情報を提供するといったサポートが必要になるからです。被災地の人たちが求めるものは、まずは薬なのです。
まとめ:インターネットは強い、だからオンライン診療(遠隔診療)
東日本大震災で最も早く回復したインフラのひとつが、インターネット回線だったそうです。つまりインターネットをフル活用しているオンライン診療(遠隔診療)が普及すれば、被災地に最も早く駆けつけることができる医師がさらに増えるのです。
地震や洪水が多い日本こそ、オンライン診療先進国になるべきでしょう。
当クリニックのED・AGA・肥満治療はオンライン診療が可能です。
料金設定も「予約料500円+お薬の送料一律500円+お薬代」のみとなっております。
厚生労働省の告知に基づき、当クリニックでの初診は来院で受診して頂いた上で、
再診時よりオンライン診療による受診が可能となります。
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