Telemedicine Report
記事リリース日:2018年5月25日 / 最終更新日:2019年1月21日
※本記事はシリーズとなっておりますので前記事からの閲覧をおすすめ致します。
前記事『【オンライン診療(遠隔診療)の経済学】①首相にプレゼンした「メドレー」ってどんな会社?』はこちらからご覧ください。
病院やクリニックは、株式会社や有限会社などの「企業」が運営することはできません。しかし現代医療は、企業の支援なしには立ち行きません。また企業側にとっても医療ビジネスは巨大マーケットを築いているので、とても魅力的です。中小零細企業から大企業、メガ企業までが、医療関連事業に携わっています。
さまざまな医療分野の中でもオンライン診療(遠隔診療)は特に、インターネットや通信機器に依存する医療ですので、多くの企業が参画しています。
以前紹介した株式会社メドレー以外の主なプレイヤーたちを紹介します。
目次
ポート株式会社は東京・新宿に本社を構え、宮崎県日南市にもサテライトを設けています。
同社は2011年4月に設立し、代表取締役CEOは春日博文氏です。ポートは元々は、人材サービスとネットメディアの会社でした。
ポートのオンライン診療(遠隔診療)サービスの名称は「ポートメディカル」といいます。ビデオ電話や電子メールなどで患者と医師をつなぐ方法は他社のオンライン診療(遠隔診療)と同じです。
現在ポートが力を入れているのは、東京女子医科大学との共同研究です。研究テーマは「オンライン診療(遠隔診療)の安全性および有効性の効果実証」となっています。
高血圧症の患者を、オンライン診療(遠隔診療)による治療を受ける人と、従来の対面診療を受ける人に分けて、どちらのほうが治療効果が高くなるかを比べます。
オンライン診療(遠隔診療)を受ける高血圧患者は、血圧を毎日測定しその結果を医師に送信します。そして定期的にオンライン診療(遠隔診療)で医師の指導を受けます。医師は必要に応じて薬を患者に自宅に郵送します。
また、同社の研究チームに所属する医師が、日本経済新聞系の医療メディア日経デジタルヘルスから厚生労働省のオンライン診療(遠隔診療)政策に対する意見を求められるなど、業界での存在感を示しています。
日本初のオンライン診療(遠隔診療)は「ポケットドクター」とされています。
ポケットドクターに登録した患者は、スマホやタブレットを使って、オンライン上で医師の診療を受けることができます。
予約も薬や処方せんの受け取りも支払いも、すべてスマホまたはタブレットで行えます。
血圧計や体温計と連動させていて、患者が自宅で血圧などを計測すると、そのデータが医師の元に送信されます。
IT業界では、複数の企業がそれぞれの強みを持ち寄って新しいサービスを提供する手法が頻繁に行われているのですが、ポケットドクターもMRT株式会社と株式会社オプティムが共同で運営しています。
オンライン診療(遠隔診療)に進出する企業は、大きくIT系と医療系に分かれますが、MRTは医療系企業に属します。
オンライン診療(遠隔診療)関連企業というと、ベンチャー企業や新興企業といった若い企業をイメージするかもしれませんが、MRTは東京・渋谷に本社を置く資本金4億2,501万円の、東証マザーズ市場上場の大企業です。
名古屋、大阪、福岡にも営業所を持っています。
社長の馬場稔正氏は医師ではないのですが、長年医療に携わってきました。医療法人の理事を務めていたこともあります。
また会長の冨田兵衛氏は、東大医学部の助手などを歴任し、現在は自身でクリニックも経営しています。同社の副社長も医師です。
2000年の創業時は医師の転職支援事業などを行っていました。
つまり医療に詳しく医師に詳しい企業といえます。特に「医師に詳しい」というのが重要で、オンライン診療(遠隔診療)は新しい医療サービスなので、ITシステムは患者にとって使いやすいだけでなく、医師もスムーズに使いこなせるものでなければなりません。
その点、MRTなら「現場の医師ならこのような機能を望むはず」ということが見えているはずです。
オプティムも大企業です。東京・汐留に本社を置き、資本金は4億1,700万円、そして東証一部上場企業です。
オプティムのホームページの製品情報のページを開くと、最初に現れるのはクラウドというインターネット上のサービスです。また社長の菅谷俊二氏は会社の目標を「ネットを空気に変える」こと、と述べています。
オプティムはITの企業なのです。
クラウドという技術はオンライン診療(遠隔診療)には欠かせません。クラウドとは多くの人が情報を保存しておけるシステムです。クラウドから情報を引き出すこともできます。
医療クラウドでは、情報を保管できる人と情報を引き出せる人を厳格に管理することで、医療情報というとても濃厚な個人情報を管理しています。
クラウド技術に定評があるオプティムがオンライン診療(遠隔診療)ポケットドクターをつくっているので、ハードも安心できそうです。
オンライン診療アプリ(遠隔診療アプリ)「クロン」も、診察・問診・ビデオ通話・予約・支払い・薬の配送をスマホなどで行うオンライン診療(遠隔診療)システムです。
なんとクロンは、このオンライン診療(遠隔診療)システムを、医療機関に対して初期費用無料、月額利用料なしで提供しています。これはかなり大胆なビジネスモデルといえるでしょう。
ただ、利用料を無料にして莫大な利益を上げている企業はたくさんあります。例えば通話アプリのLINEも、グーグルのGmailも無料ですが、運営会社の業績は好調です。
クロンを運営するのは、東京都千代田区に本社を置く株式会社情報医療です。設立は2015年と、とても新しい会社です。
社長の原聖吾氏は、東大医学部卒の医師で、アメリカで経済学修士(MBA)を取得し、世界的なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤めた経験があり、横浜市立大学医学部の非常勤講師を務める異色の経歴の持ち主です。
株式会社情報医療は、オンライン診療(遠隔診療)よりさらに先を行くAI(人工知能)医療に食指を動かしています。
同社の最高技術責任者(CTO)の巣籠悠輔氏は、東大工学部卒のエンジニアで、AIに関する著書も執筆しています。広告代理店で最大手の電通に在籍していたこともあります。
株式会社情報医療が取り組んでいるAIビジネスは多岐に及びますが、代表的な2件を紹介します。
CTやMRIやエコーといった画像検査機器は、医師がその画像から病気を見付けるためのツールです。しかし長年画像を見続けてきた医師であっても、どうしても見落としが起きるわけです。そこで人工知能を搭載したコンピューターに何百万枚もの画像を読ませて、人工知能に学ばせて、病気が映っている画像を見付けるようにするのです。これを医療画像からの疾病識別エンジンといいます。
また個々人の健康状態の将来予測エンジンは、大量の検査結果、大量の問診内容、大量の電子カルテを人工知能に学ばせて、ある人の健康予測をさせるのです。つまり、ある人の健康診断結果でその人が将来どのような病気を発症するかが分かるようになるのです。
医療業界の常識を変えたいと願う天才や秀才たちが集まって、オンライン診療(遠隔診療)をどんどん進化させようとしています。日本の医療は世界トップレベルですが、ゆくゆくはオンライン診療(遠隔診療)でも世界をリードしてほしいと思います。
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※本記事はシリーズとなっておりますので前記事からの閲覧をおすすめ致します。前記事『【2018年版 動き出すオンライン診療1】新制度はこうなる』はこちらからご覧ください。 医療保...
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