記事リリース日:2019年2月4日 / 最終更新日:2019年2月4日
中国に登場した無人クリニックを
ソフトバンクが支援していた
AI(人工知能)の先進国である中国に、無人クリニックが登場しました。
日本のクリニックには、医師や看護師や事務員が必ずいますが、中国の無人クリニックには本当に医師も看護師も事務員もいないのです。
人がいない無人クリニックで、誰が医療を提供するのかというと、“AI”が医療を提供するのです。
AIは人間の知能に似た機能を持つコンピュータといわれていますが、どうやって医療を行っているのでしょうか。
これだけでもとても驚きのニュースですが、実はこの無人クリニックを、日本の携帯電話通信会社のソフトバンクが支援しているのです。
スマホとプロ野球球団の会社であるソフトバンクが、なぜ医療なのでしょうか。
中国の無人クリニックの内容
まずは中国の無人クリニック「ワンミニット・クリニック(1分間診療所)」の仕組みをみていきましょう。
無人クリニックの外観は、証明写真ボックス1個と自動販売機1個を組み合わせた感じです。
無人クリニックのなかに入ると椅子があり、患者はそこに座ります。
患者の正面にはカメラとマイクがついていて、患者の様子を撮影したり、声を録音したりします。
患者の動画と音声のデータはインターネットを経由してAIを搭載したコンピュータに送信されます。
AIはそのデータを元に、患者の診断をします。
AIの診断内容は人間の医師が確認し、医師がAI診断の内容に問題がないと判断すればその結果を患者に知らせます。
ポイントは、人の医師がまったく関与しないわけではなく、無人クリニックから遠く離れた場所にいる点です。
診断結果を受け取った患者は、無人クリニックの外に出ます。
そして無人クリニックに併設された自動販売機で薬を買い帰宅します。
この間、わずか数分です。
その自動販売機のなかには約100種類の薬が入っているのですが、それでも適切な薬がなければ、後日、患者の自宅に薬を宅配してもらえます。
この無人クリニックを開発したのは、中国のオンラインヘルスケアサービスの「平安健康医療科技」(以下、平安社)という会社です。
平安社がこれを発表した2018年11月現在、無人クリニックはまだ試作品ですが、同社はこれを薬局や観光地、ショッピングモールなどに設置したい考えです。
――と、このように聞くと、中国のベンチャー企業が無謀な挑戦をしているように聞こえるかもしれませんが、そのようなことはありません。
というのもこの平安社は、すでにオンライン医療サービス「平安好医生(平安グッド・ドクター)」というスマホアプリを運営していて、そのユーザー数は2億人にのぼります。
平安グッド・ドクターでも、診療を担当するのはAIと人間の医師です。
AIを使うこと以外は日本のオンライン診療と似ているのですが、平安グッド・ドクターでは病院の入院予約もできます。
平安グッド・ドクターのアプリの利用は1日37万人に達しています。
日本ではまだAIを使った患者の診断は行われていませんが、中国ではすでに始まっているのです。
AIには学習機能が備わっているので、無人クリニックのAIは毎日37万人分の症例を集めて、医療の研鑽を積んでいるようなものです。
もしかしたら無人クリニックのAIこそ、患者の初期症状を見逃さない天才内科医になるかもしれません。
つまり、無人クリニックは、そのまま未来の医療の形になるかもしれないのです。
そして無人クリニックの可能性を最も強く信じている人の1人が、ソフトバンクの孫正義氏で、同社は平安社に約4億ドル(約456億円)を出資しています。
ソフトバンクと孫氏と医療の関係については後段で解説しますので、次は中国のオンラインを使った医療についてみていきましょう。
中国はオンライン診療でも世界をリード
平安社の創業者は、中国の深刻な医療人材不足を解消しようと、オンライン診療や無人クリニックの開発に乗り出しました。
同社がオンライン診療を立ち上げたのは2014年8月です。
サービス内容は“かかりつけ医”を提供することです。
健康管理や薬の処方、薬の販売などを行い、AIが医師たちをサポートしています。
先ほどオンライン診療の登録者は約2億人と紹介しましたが、少ない医師がこれだけの患者を診ることができるのは、医療の大部分をAIに任せているからです。
診断効率は、人間の医師だけで対面診療で行う場合より5倍高まりました。
これは至極当然の事で、このオンライン診療のAIは仕事が速いだけでなく、24時間稼働しているからで、これほど便利なシステムを導入しない理由はないのです。
また数字は公表されていませんが、誤診率も大幅に減少したそうです。
なぜ誤診率が下がったかというと、オンライン診療で使うスマホのアプリを使って、患者の舌を撮影したり、脈拍を計測したり、声を録音したりしているからです。
日本のクリニックの医師が診察室で行うことは、大抵実行しています。
つまりAIオンライン診療は“安かろう悪かろう”な医療ではなく、すでに“安いのによい”医療になっているのかもしれないのです。
平安社は、「当社の医療システムは、中国だけでなく世界の『医療の定義』を変える」とまでいっていますが、これはあり得ない話ではないかもしれません。
なぜなら中国はいま、AI開発でアメリカを猛追しているからです。
残念ながら日本のAIは先頭集団に入っていません。
そしてAIは、医療ととても相性が良いのです。
AI医療はすでに、人の医師の目ではみつけることができない、レントゲン写真やCT写真のほんのわずかな異常を簡単に発見します。
しかも中国では、政府がAIを全面的にバックアップしています。
したがって規制が緩く、オンライン診療や無人クリニックも簡単に実用化できるのです。
日本はAI技術で置いていかれ、新しい医療のチャンレジでも置いていかれているのです。
孫さん大絶賛のピン・アン・グループ
ソフトバンクが中国のオンライン医療ベンチャー、平安社に注目するのも、その実力と将来性を考えれば当然といえば当然です。
平安社は、中国の保険会社、ピン・アン・グループに属しています。
企業の価値のことを「時価総額」というのですが、ピン・アン・グループの時価総額は20兆円に達します。
保険会社としては世界最大規模を誇ります。
ソフトバンクの孫氏は「ピン・アン・グループがAIの医師をつくってしまった。
2億人の登録顧客を持ち、1日40万回の診断を行っている。
1日40万人の患者を人間の医師が診ようとすれば、何人必要か。この数字をクリアできるのは、オンラインとAI医師を使っているからだ」と絶賛しています(※)。
さらに孫氏は「オンライン診療の将来性は明白だ。中国では平安社のオンライン診療でお年寄りたちの命が救われている。
オンライン処方せんが解禁されていない日本は、『従来の薬局を守ろう』とするあまり、未来を放棄しているようなものだ」と、日本の医療制度を痛烈に批判しています(※)。
ソフトバンクの基礎知識:携帯通信会社というより投資会社
ソフトバンクは、そして孫氏は、なぜ中国の医療ベンチャーに投資をしたのでしょうか。
それは現在のソフトバンクは、携帯会社というより投資会社だからです。
ソフトバンクの主な投資先は以下のとおりです。
- ・アメリカの携帯会社、スプリント
- ・日本のネット企業、ヤフー
- ・イギリスの半導体大手、アーム
- ・中国のネット通販会社、アリババ
- ・タクシーのネット配信会社、ウーバー
- ・オンライン医療会社、平安社
一見すると投資戦略などない、単なるバラマキにみえるかもしれませんが、もちろんそのようなことはありません。
ソフトバンクには「全業界の世界No.1企業と提携する」という構想があるのです。
ではなぜ、すべての業界の世界No.1企業と手を組む必要があるのでしょうか。
現代の企業は、自社が従来から所属している業界でビジネスをしているだけでは、生き残ることができないからです。
例えばオンライン医療は、医療業界とネット業界の2つに所属しているわけです。
つまり全業界の世界No.1企業とつながっていれば、理論上は、それぞれの企業が常に最新最良の製品やサービスを提供できるようになります。
孫氏は、医療が他の業界とがっちりタッグを組めば、よい医療が安いコストで広がると考えているのでしょう。
まとめ~日本国内における現状は
オンライン診療は日本でも2018年4月に、正式に公的医療保険の対象になりましたが、まだ爆発的に普及している状態ではありません。
それは厚生労働省がまだ“全面解禁”しているわけではないからです。
もちろん、新しい医療は人の命にかかわることなので、厚生労働省が慎重に事を進めているのは理解できます。
しかし孫氏としても同じく、“人の命にかかわるから”という理由でオンライン診療や医療のAI化を提唱しています。
当クリニックのED・AGA・肥満治療はオンライン診療が可能です。
料金設定も「予約料500円+お薬の送料一律500円+お薬代」のみとなっております。
厚生労働省の告知に基づき、当クリニックでの初診は来院で受診して頂いた上で、
再診時よりオンライン診療による受診が可能となります。
新橋ファーストクリニック診療科目