AIを使うことで、薬剤師もコンビニ店員も関与させない
では仮に、本物のコンビニが処方せん医薬品を扱えるようになると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
またコンビニ・クリニックを実現するには、法整備以外に何が必要になるでしょうか。
コンビニ・クリニックが実現すれば、患者は夜間や休日でも、効果が高い薬を24時間手に入れることができます。
現在でも処方せんを24時間受け付けている調剤薬局は存在しますが、その数は多くはありません。
しかし、コンビニで処方せんを受け付けできれば、深夜に夜食のおにぎりを買いに行くときに、同時に処方せん医薬品を受け取ることができるのです。
Mさんはコンビニ・クリニックを実現させるためには、AI(人工知能)を搭載した診察コンピュータが必要であると考えています。
AIが患者の本人確認と処方せんが本物であることを確認します。
さらにそのAIは、監視カメラで患者をモニターし、様子がおかしければ近隣の救急病院などを紹介します。
Mさんの提案のポイントは、コンビニ・クリニックには医師も薬剤師もコンビニ店員も関与しないところです。
もし薬剤師が必要な仕組みであれば、それは現行の24時間調剤薬局のコンビニ化にすぎません。
それでは効率化は図れません。
またコンビニ店員を関与させないことで「医療の素人判断」を予防しています。
AIがすべて行うことがこのアイデアの肝なのです。
AIのさらなる進化と薬の受け渡しの安全確保が必要
コンビニ・クリニックで想定されているAIは、現行のAIをはるかに上回る性能を持っていなければなりません。
現行のAIでも本人確認や処方せんの照合は可能かもしれませんが、「薬剤師以上に間違いのない判断」を下すには、もう一段階進化したAIが必要でしょう。
さらに、安全に処方せん医薬品を受け渡すことができるのか、という課題もあります。
ただこれも、現在すでに無人コンビニの研究・開発が進んでいるので、将来的には防犯やセキュリティの問題はクリアできるかもしれません。
医療費の膨張という問題を、医療従事者不足、少子高齢化、労働者不足といった厳しい環境下で解決していくには、医療をコンビニ化してAIやITやネットで解決できるものを増やしていく必要があるでしょう。
コンビニ・クリニックは、情報学を専攻する大学院生らしい提案といえます。