記事リリース日:2019年3月8日 / 最終更新日:2019年3月8日
「医療の効率化は、患者にも医師にもメリットをもたらし、医療費の削減につながる」
このようなことがよくいわれます。
医療の効率化の重要性は、国民も医療機関も厚生労働省も認識しています。
しかし、効率化が一気に進むことはありません。
大抵は、ひとつずつ工夫を重ねていき、ゆっくり効率が上がっていきます。
効率化を目指した工夫のひとつとして、Ubie株式会社が開発した「AI問診Ubie」を紹介します。
AI問診Ubieはその名のとおりAI(人工知能)を使った問診票です。
患者はタブレットの画面を見ながら、AIがつくった質問に答えるだけです。
それで問診票が完成し、医師の診療の資料になります。
すでに実用化されているこの「最新AIツール」が医療現場をどのように効率化しているのかみてみましょう。
そもそも問診票とは
問診票はいわば「自己申告型の調査票」です。
初診の患者が治療前に、心身の状況や病歴、アレルギーの有無などを専用用紙の「問診票」に記載し、診察をする前に医師がそれに目を通します。
問診票がないと、医師は初めて診る患者にすべて質問しなければなりません。
問診票を事前に記入している事によって、医師は患者に会う前の段階で、過去の既往歴などの診察には欠かせない「重要な手掛かり」を得ることができるのです。
つまり紙と手書きの問診票は、効率化ツールとして誕生しました。
そしていま、AIを使った問診票によって医療現場がさらに効率化するのです。
AI問診の仕組みと使い方
AI問診Ubieの使い方をみていきましょう。
医療機関は初診の患者に、AI問診Ubieを搭載したタブレットを渡します。
タブレットの画面には「気になる症状があるので診てほしい」「いつもの病気なので薬がほしい」「けが・やけどを治したい」「診療科から選びたい」「ワクチン接種・外来・検診を受けたい」といった選択肢が並びます。
患者は指で画面をタッチして質問に回答します。
続いて「気になる体の部位」や「症状の種類」「親族に同類の症状が出ている人がいるか」といった質問が出てきます。
これがAI問診Ubieの使い方のすべてなのですが、これだけでは「すごさ」が伝わらないと思います。
恐らく使っている患者も「すごさ」を感じないでしょう。
しかし、すごさを感じさせないところが、AI問診Ubieのすごさなのです。
患者に「簡単だ」と思させることができているからです。
そして医師は「すごく」役に立っています。
それはAI問診Ubieが、患者ごとに質問を変えているからです。
患者が1つ回答するごとに、AIはその患者に適した「次の質問」を考えているのです。
医師は患者から症状を聞くと、いくつか病気を想像し、「あの病気ならその他にこのような症状が出るはずだ」と考え、患者に「では、こういう症状も出ていませんか」と聞きます。
これと同じことをAI問診Ubieが実行しています。
AIは医師と同じように、患者の年齢や性別、主訴、そして季節に応じて「この患者に何を尋ねたら診察のヒントになるか」を判断しているのです。
【患者のメリット】書かなくていい、言いたいことを聞いてくれる
AI問診Ubieは患者と医師の双方にメリットをもたらします。
まずは患者のメリットを紹介します。
紙の問診票の場合、患者のほうから症状を訴えなければなりません。
しかし、痛みやかゆみを文字で表現するのは簡単なことではありません。
ときにジェスチャーや擬音語や擬態語で表現したくなりますが、それを文章に置き換えることは至難の技です。
しかしAI問診Ubieでは次々に質問をしてくれるので、患者はそれに答えるだけで自分が言いたいことを伝えることができます。
AI問診Ubieを導入した医療機関では、患者から「ストレスが少ない」「簡単」という感想が寄せられたそうです。
また的確な質問が続くので「自分の病気や状態を把握してもらっている感じがあり、安心できた」という感想もありました。
AI問診Ubieを導入したあるクリニックが、問診時間を計測しました。
頭痛外来の初診患者164人にAI問診Ubieを使ってもらったところ、問診時間は平均約4分でした。
このクリニックの、従来の紙の問診票の所要時間は平均約10分だったので、半分以下に短縮されました。
さらにAI問診Ubieを使った医師は「患者を帰してから『あの症状の有無を聞き漏らした』と思っても、AI問診Ubieが尋ねていたことがあった」と話しています。
つまりAI問診Ubieは、診察を充実させながら問診時間を短縮させたのです。
これは患者にとってメリットが大きい効率化といえるでしょう。
【医師のメリット】診察を支援してもらえる、残業が減る
AI問診Ubieが医師にもたらすメリットは、患者が受けるメリットより大きいようです。
医師は患者にAI問診Ubieを使ってもらうだけで、例えば1人の患者について次のような情報を入手することができます。
- ・めまい:2時間前から、症状持続は60秒以内
- ・立位で誘発されるめまい
- ・食欲不振、普段の食事量の50%くらいしか食べられない
- ・気持ちの落ち込みが2日前からある
- ・症状は夕方に多い
- ・陰性症状:頭痛、吐気・嘔吐、血便、しびれ・感覚障害、耳鳴り、眼球運動障害
さらにAI問診Ubieは、問診情報から推測される病名を医師に提示します。
例えば上記の内容であれば、次のような病名を疑いの病気として示します。
- ・起立性低血圧・POTS
- ・低血糖症
- ・良性発作性頭位めまい症
- ・アナフィラキシー
- ・房室ブロック
- ・不安障害
- ・ウェルニッケ脳症
- ・関節リウマチ
- ・メニエール病
医師はこれだけの情報を、診察前に入手することができるのです。
AI問診Ubieを使った医師からは「疑わしい病名リストが提示されるので『念のため検査をしておこう』という気持ちになる」「気づきが喚起される」といった声が挙がっています。
また、AI問診Ubieで得た情報は、そのまま電子カルテに転記されます。
紙の手書きの問診票の場合、医師や看護師や事務員が電子カルテに記載しなければなりません。
その手間が省けるだけでなく、転記ミスもありません。
「AI問診Ubieを使うようになってから残業時間が減った」という医師もいます。
医師が立ち上げたUbie株式会社とは
AI問診Ubieを開発したUbie株式会社(本社・東京都中央区)は東京大学医学部卒の医師、阿部吉倫氏と、東京大学大学院工業系研究科卒のエンジニア、久保恒太氏が共同で立ち上げた会社です。
阿部氏は研修医時代に、医師が多くの時間を電子カルテの作成などの事務作業に費やしているのは、貴重な医療資源の浪費ではないかと感じました。
そこで高校、大学時代の同級生である久保氏とともにAIを使った問診票ソフトの開発に取り組み始めました。
Ubie株式会社は2017年5月の設立当初から、医療と技術が融合した会社なのです。
5万件の論文を読みアルゴリズムをつくった
AIは優れたIT技術であり最新のコンピュータ技術です。
しかしAIそのものは「手づくり」で構築していきます。
AI問診Ubieは、患者が質問に回答すると900の病気のなかから関連が強い病気を探し出します。
しかし医療のプロであり、目の前に患者を抱えている医師に「疑わしい病気」を示す以上、相当に確実性が高い病名を提示しなければなりません。
そのためにはAI問診Ubieが、患者に適切な質問をしなければなりません。
阿部氏は5万件の論文を読み込み、「病気のデータベース」をつくりました。
このデータベースがAIの「教師」になるのですが、当初AIはなかなか的確な質問を出すことができませんでした。
開発の課題は、アルゴリズムを洗練させることでした。アルゴリズムとは「算法」「計算方法」「やり方」と訳されます。
AI問診Ubieの開発のカギを握っていたのは、「この病気が疑われる」という結論を出すまでに「何を聞かなければならないか」をAIに学ばせることでした。
それを実現させるアルゴリズムづくりが難航しました。
しかしある朝、阿部氏は1つのロジックをひらめきました。
そのロジックをアルゴリズムに組み込んでAIを稼働させたところ、適切な質問をするようになったのです。
まとめ~効率化は最良化でもある
効率化と省力化は似ているようで異なります。
どちらも無駄を省くという点では同じですが、効率化では最良化も目指します。
つまり、ある作業工程を省力化できても、省力化する前より品質が落ちてしまっては、効率化したとはいえないのです。
ITや、ITの進化形であるAIはすでに、医療の効率化に欠かせない技術となっています。AI問診Ubieは患者と医師の負担を減らしながら診察内容を充実させているので、間違いなく効率化が成功した事例といえるでしょう。
当クリニックのED・AGA・肥満治療はオンライン診療が可能です。
料金設定も「予約料500円+お薬の送料一律500円+お薬代」のみとなっております。
厚生労働省の告知に基づき、当クリニックでの初診は来院で受診して頂いた上で、
再診時よりオンライン診療による受診が可能となります。
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