不安や恐怖は悪いものではないが、過剰に感じると支障が出る
不安や恐怖は、危機が迫っていることを察知すると生じます。
不安や恐怖を感じると、先に進むことをためらったり、危機を積極的に取り除こうとしたりします。
その結果、安全を確保できたり危機を回避できたりします。
しかし、危機的な状況が発生していないにも関わらず過剰に不安を感じてしまうと、通常の活動ができません。
また、日常生活を送るには、快適な状況でなくても安全が確保できていれば受け入れなければなりません。
不安症や恐怖症の患者は過剰に不安や恐怖を感じてしまうため何もできなくなってしまい、日常生活が困難になるのです。
不安障害の種類
不安障害にはさまざまな種類があり、不安障害のことを不安症と呼ぶこともあります。
そのほか、恐怖症、全般性不安障害、パニック障害、不安神経症などがあります。
恐怖症は、不安と特定の現象が結びついている特徴があります。
対人恐怖症は「他人と接する」という特定の現象が過剰な不安を引き起こす症状です。
恐怖症にはそのほかに、高所恐怖症、閉所恐怖症、先端恐怖症などがあります。
恐怖症の患者は、自分が苦手とするシチュエーションに置かれると、その状況がまったく深刻でなくても体に異変が生じます。
全般性不安障害は、特定の現象に限らず過剰な不安が生じる症状です。
パニック障害は突如自律神経が乱れ、パニック発作が起きます。
症状は一気にピークに達し周囲が「死ぬのではないのか」と感じるほど激しいものですが、救急車で病院に運ばれて検査をしても異常がみつからないこともあります。
不安神経症は不安が発作的に出現し、さまざまな症状を引き起こします。
不安障害の症状には、動悸、息苦しさ、発汗、震い、けいれん、めまい、吐き気、しびれ、冷感などがあります。
不安障害の治療
不安障害の治療には、薬物療法、認知行動療法、精神療法・心理療法などがあります。
薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)といった薬を使います。
認知行動療法は、患者が医師から不安が生じるメカニズムを習ったり、不安を感じる現象を分析したりします。
患者が「不安に感じる必要がない」と認知できると、不安を感じる行動を修正できます。
そして精神療法・心理療法のひとつ暴露療法が、今回紹介するVRを使った治療法に関わってきます。
暴露とは、不安障害の患者に「わざと」不安を感じるシチュエーションを体験してもらうことです。
こちらは後程詳しく紹介します。