記事リリース日:2019年7月24日 / 最終更新日:2019年7月26日
遠隔地にいる患者と医師が、インターネットのテレビ電話システムでつながって診療を行うオンライン診療は、医師不足問題の解決策になるかもしれません。
それは、オンライン診療が医療を効率化させるからです。
効率的な医療を行えば、医師の労力が減り、労力が減れば医師の数を減らすことができるので医師不足が解決できるわけです。
しかし、医療現場とオンライン診療の両方を詳しくみていくと、それほど単純な話ではないことがわかります。
例えば医師不足問題には意外にも「医師余り」の問題が含まれています。
つまり医師の数を増やしても、すぐには地方の医師不足問題は解決しないのです。
また、現行の医療制度はオンライン診療の潜在能力を100%引き出すことができていません。
オンライン診療をもっと活用すれば、日本の医療はさらに「よくなる」ことが期待できます。
余った時間を使うことができる
オンライン診療には、ITシステムやインターネット技術が欠かせません。
ITやネットが進化したので、オンライン診療が可能になったということもできます。
そのオンライン診療システムを提供している会社は複数存在しますが、MRT株式会社(本社・東京都渋谷区)はそのなかでも、東京大学医学部附属病院の医師の互助組織を母体として誕生し、取締りの7割が医師という異色の存在です。
MRTの小川智也副社長は、「医師が経営しているから医師が使いやすいオンライン診療システムを提供できている」と、自社製品に自信を持っています。
同社のオンライン診療システム「ポケットドクター」は1万の医療機関に導入され6万人の医師が会員登録しています。
小川氏によると、オンライン診療には2つのメリットがあります。
ひとつめは患者のメリットです。
遠隔地にいても充実した治療を受けられるので、へき地や離島の患者さんに喜ばれます。
また都心部には近くにたくさんの医療機関がありますが、多忙を極めるビジネスパーソンや子育て中の母親は通院時間を確保できません。
したがってオンライン診療は都会でも活躍できるのです。
そして2つめのメリットは、医師が受けるものです。
小川氏は、オンライン診療を使えば「医師が空いた時間を診療に活用できる」と話しています。
ここではこの2つめのメリットに注目してみます。
診療は実は医師の思い通りにはいっていない
「3分診察」と揶揄されることがある病院の外来診療ですが、実は医師側にも「言いたいこと」はあります。
患者さんの視点からすると、外来診療は医師の都合に合わせて進んでいるようにみえますが、そうではないのです。
病院の場合、医師は入院患者さんと外来患者さんの両方を診ています。
医師は、入院患者さんの都合と外来患者さんの都合を最適化しようとしています。
しかし医師の体は1つなので、入院患者さんの要望を聞けば、そのしわ寄せは外来患者さんにいってしまいます。
大規模病院では外来の診察時間になっても医師が現れないことがありますが、こうした事情もあるのです。
さらに患者さんは容態が悪化します。
患者さんが急変すれば特別な対応が必要になるので、それ以降の医師の予定はすべて狂ってきます。
そして外来の予約患者さんは、しばしば無断でキャンセルします。
医師が検査や治療の準備のために費やした時間はすべて無駄になります。
仕事が多くなるだけでなく、こうしたロスが積み重なることでも医師が不足していくのです。
同じであり同じではない
医師が外来診療で費やす時間とオンライン診療で費やす時間は同じであり、同じではありません。
患者さんと相対する時間は同じですが、その時間帯を柔軟に動かすことができるかどうかは大きな違いです。
オンライン診療は患者さんと医師の都合を擦り合わせてスケジュールを組むことができます。
オンライン診療であれば、患者さんは原則どこに居てもいいので、急遽都合がつかなくなることが減ります。
つまり無断キャンセルが減ります。
また、どこでも受診できるとういことは、いつでも受診できることでもあります。
例えば医師が急遽30分ほど時間ができたので、患者さんに診療時間を早めてもらうことも不可能ではありません。
「医師が空いた時間を診療に活用できる」オンライン診療は、医師の時間を有効活用することに他なりません。
医師不足とは、医師の活動時間が不足している状態なので、医師の時間の有効活用は医師不足対策になるのです。
訪問診療は解決策になるのか
厚生労働省は病院にかける医療費を節約するために、訪問診療を推奨しています。
訪問診療とは、医師が患者宅に出向き医療サービスを提供する仕組みです。
病院での医療は大量の設備を必要とするのでコスト高になりますが、在宅医療は最小限の医療資源で済むのでコスト安です。
また、患者さんもわざわざ医療機関に出向かなくていいので、負担を減らすことができます。
しかし訪問診療は、医師の移動時間が無駄になります。
また、訪問診療では自家用車で移動するので交通事故のリスクを常に背負うことになります。
そして東北地方や北海道などの雪国では、4WDなどの特別な車両を使ったり移動時間が長くなったりと、移動コストが跳ね上がります。
このような、無駄、リスク、コストは訪問診療を行っている医師側が負わなければなりません。
訪問診療の利便性は医師の負担によるところが小さくないのです。
オンライン診療であれば、訪問診療のメリットを活かしながら、訪問診療のデメリットの多くを解消できます。
医師余り?DtoDが鍵
医師不足の問題は、医師余りの問題を含んでいます。
厚生労働省は、地方の医師不足と都心部の医師余りを合わせて「医師偏在」と呼んでいます。
国は2008年以降、医学部定員を大幅に増やしているので、医師数は確実に増えています。
しかし多くの医師が「都会に住みたい」「大都市の病院で働きたい」と考えれば、医師をどれだけ増やしても地方の医師不足は解決せず、都心部の医師余りが深刻化することになります。
医師偏在の解決には、オンライン診療のDtoD機能が有効です。
DtoDはドクター対ドクターという意味で、地方の医師と都心部の専門医を結ぶオンライン診療です。
ちなみに一般のオンライン診療は医師と患者さんをつなぐので、DtoP(ドクター対ペイシェント)と呼びます。
地方には専門医が足りないので、多くの地方の医師は自分の専門外の病気を診ています。
しかし患者さんとしては「やっぱり専門医にかかりたい」と思います。
そこでオンライン診療のDtoD機能を使えば、地方の医師がリアルタイムで都心部の専門医に相談することができます。
DtoDが拡充すれば、都心部の専門医は仕事を増やすことができます。
さらに都会にいながら地方医療に貢献することができます。
オンライン診療のDtoDには遠隔放射線画像診断や遠隔術中迅速病理診断などがあります。
遠隔放射線画像診断は、地方の医師がCT画像などを都心部の専門医に送信して診断を依頼するものです。
遠隔術中迅速病理診断は、手術中の医師が、オンライン診療のシステムを使って遠隔地の専門医に判断をあおぐことができる仕組みです。
いずれの場合も、厚労省が認定する正式な制度になっています。
まとめ~つなぐことで力の集中と労力の分散ができる
オンライン診療の仕組みを支えているITやネットは、人々をつなぐ技術です。
SNSは人々のコミュニケーションをつなぎ、クラウドサービスはIT企業と一般企業をつなぎます。
オンライン診療のITは、患者さんと医師をつなぎ、医師と医師をつなぎます。
人と人がつながると、力を集中することができます。
オンライン診療は、医師が不足しているところに医師の力を集中させることができます。
そして人と人がつながると、労力を分散することができます。
地方の医師と都心部の専門医がオンライン診療でつながると、地方では難しい高度な医療を両者が分担して担うことができます。
オンライン診療にはまだまだ大きな潜在能力が眠っているので、それを引き出せば医師不足問題に寄与するはずです。
当クリニックのED・AGA・肥満治療はオンライン診療が可能です。
料金設定も「予約料500円+お薬の送料一律500円+お薬代」のみとなっております。
厚生労働省の告知に基づき、当クリニックでの初診は来院で受診して頂いた上で、
再診時よりオンライン診療による受診が可能となります。
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